Nikon   F3   AF

1    概括
   1980(昭和55)年3月に発売されたF3が、3年後の1983(昭和58)年4月にオートフォーカスに魔改造されて世に出て来ました。


⑴    発売
   1983年2月1日のカタログに「新発売」と記載されている事からこの頃に発売されたと思われます。
⑵    終了
   カメラ総合カタログでは、第91号(1988年3月発行)までは掲載がありますが、第93号(1988年9月発行)からは掲載が無くなっているので、この頃に販売終了したものと思われます。F4の発売が1988年12月に発売(当初、11月3日発売とアナウンスされていたようですが、最終的には12月に発売となったようです。)ですから、オートフォーカスのF4の登場により姿を消しました。他のF3シリーズは2001年まで製造されたので、F3シリーズの中では唯一世代交代により姿を消した機種となります。
   なお、F3/T(チタンカラー)もF3AFと同じ1988年に終了していますが、こちらの終了理由はF3AFとは異なると考えています。

2    諸元(F3との相違点のみ)
   形式    :    AFレンズ連動用接点内臓電子制御式35mm一眼レフフォーカルプレーンシャッターカメラ
   交換レンズ    :    オートフォーカス用…AiAF80mmF2.8SおよびAiAFED200mmF3.5S(IF)、
               フォーカスエイド用…F3.5以上の明るいニッコールレンズ(一部使用不可)
               およびAFニッコールレンズ(F3AF用)
   ピント検出方式    :    TTL位相検出法
   測距可能範囲    :    約EV4〜EV20(ASA/ISO100)
   ファインダー    :    オートフォーカスファインダーDX-1標準装備、他5種と交換可能
   ファインダースクリーン    :    専用AFマットスクリーンをDX-1に内臓
   ピント表示    :    合焦、前ピン、後ピン、ピント警告、低輝度警告
   寸法・重量    :    約148.5×115.5×90mm・約950g(ボディのみ)
   標準価格
      AiAFニッコール80mmF2.8S付                    ¥330,000
      AiAFニッコールED200mmF3.5S(IF)付        ¥445,000
      ボディ(ブラックのみ)                          ¥250,000

3    F3との違い
⑴    ボディー
イ    機種名
   F3は向かって左側上カバー正面に「F3」と刻印され、凹部に白色で塗装されていますが、F3AFは「F3AF」と刻印・塗装されています。
ロ    製造番号
   F3は「Nikon XXXXXXX」と刻印されていますが、F3AFは「Nikon AF 830XXXX」と刻印されています。なお、F3AFの製造番号は830で始まるようです。
ハ    マウント部接点
   マウント内側の上側に接点が6個並んでいます。なお、F3のマウント内側に接点は存在しません。
ニ    ファインダー側
   上記ハの接点に対応する接点が6個突き出ています。
⑵    ファインダー(AFファインダーDX-1)
   F3AFでオートフォーカスをするには専用ファインダーであるDX-1が必要になります。DX-1は外観が巨大ですが、スクリーンが一体になっているため、下側もかなり突き出しています。
   画像は、いずれも左側がF3AFで、右側がF3です。



4    フォーカスエイド
   フォーカスエイドとは、ファインダー内に表示する矢印でピントの前後を表示して、ピント合わせを手助けしてくれる機能をいいます。
   次の組合せで使用が可能となります。
⑴    F3AFボディ + AFファインダーDX-1 + 非F3AF用レンズ
⑵    F3AF以外のF3ボディ + AFファインダーDX-1 + レンズ
   詳しくは、1983.2.1付のカタログをご覧ください。


5    F3AF用レンズ
   次の二本が用意されていました。
⑴    AF-Nikkor 80mm F2.8S ¥80,000


⑵    AF-Nikkor ED200mm F3.5S(IF) ¥195,000



   メーカーによると、F3AF用AFレンズにも信号接点がありますが、CPUレンズではないそうです。
   なお、F3AF用レンズでAF撮影を行えるカメラボディーは、F3AFの他は、F4とF-501 の二機種のみです。


6    AFテレコンバーター TC-16(S)
   AFレンズが少ない事への対応として、AFテレコンバーター TC-16(TC-16Sも同じもののようです。)が用意されました。TC-16は下側が出っ張っているので、F3AFに装着して台の上に置くと上を向いてしまいます。

   TC-16(S)の詳しい情報は1984.11.1付のカタログをご覧ください。
   なお、TC-16(S)に似たものとしてTC-16Aがあります。TC-16(S)は、F3AF用なので、中にAFモーターが入っているため下部に大きな膨らみがあります。TC-16Aは、その後のAFカメラ用なのでAFモーターが入っていません。そのため、下部に膨らみが無く、スッキリした外観になっています。

   下の画像でTC-16(S)とTC-16Aを比較しています。左側はTC-16(S)で、右側はTC-16Aです。


7 ケース
   F3AFの巨大なファインダーを収める専用のカメラケースが用意されました。


8    カタログ
   F3AFは、時期によって2種類のカタログがありました。
⑴    黒表紙    A4版    20頁
   表紙に「新製品」と記載があるので、発売当初のものと思われます。
   次の日付のものを確認しています。
イ    1983.2.1
   日付的に最初のカタログと考えられます。

ロ    1983.6.1

   イから4月後に更新されています。
   内容は。P18のスピードライトの画像がSB-12からSB-17に変更されています。
⑵    白表紙    A4版    16頁    984.11.1

   このタイプの表紙のものは1984.11.1 付のもののみを確認しています。販売開始の翌年には4頁少なくなったカタログに置き換えられたことになります。しかしながら、内容は全面的に改訂が加えられています。
   F3AFは、1988年のF4発売まで販売されていたのですが、その後更新されたかどうかはわかりません。通常のF3のカタログにも掲載されているので、個別のカタログは必要ないと判断されたのでしょうか?
   大きな変更点として、TC-16(S)を見開き2頁で追加しています。
⑶    英語版    USレターサイズ


   最近のZ9と同じように横に開きます。




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