Nikon   ガンカプラー


1   はじめに
  令和の時代にガンカプラーの需要が有るとも思えないのですが、備忘的に書かせて頂きます。
⑴   ガンカプラーの目的
  アクセサリーシューの形状がF・F2、F3で異なり、それらはJIS規格のものとも異なっていました。そのため、それぞれの専用スピードライトを用意していましたが、アクセサリーシューのアダプターとして用意されたのがガンカプラーです。
  という事で、各機種のアクセサリーシューの形状を確認します。
⑵   F・F2用アクセサリーシュー
  裏蓋側からスライドさせます。接点は一つだけですね。

  F2のファインダーの左側から伸びている接点がスピードライト側と接して充電完了表示をします。

⑶   F3用アクセサリーシュー
  F・F2用とは逆のマウント側からスライドさせます。接点は3つに増えました。

⑷   JIS規格アクセサリーシュー
  これは説明不要ですね。


2   ガンカプラーのバージョン
  Fの時代は、型番が付されていませんでしたが数種類ありました。
  F2の時代は、AS-1とAS-2の2種類有りました。F、F2→JISとその逆ですね。
  F3の時代にはF、F2←→F3←→JISにそれぞれ対応するよう4種類増えて合計6種類用意され、説明書もF・F2〜F3の時代のものをまとめて作成されています。
  その後、F3用の発展型としてAS-7とAS-17が用意されました。

3   Fの時代(型番の無いもの)
  標準価格:¥500(カメラ総合カタログ(1966年4月))

  フラッシュユニットBC-5、6等を使用するためのもの。
  大きさ、形、マーク等に様々な違いがあります。
  後にAS-1となります。
  1966年4月のカメラ総合カタログには、「ニコンF用アクセサリー」に「ガンカプラー」とのみで型番の記載はありません。

  私はフラッシュユニットを持っていないので、イメージとしてグリコのおまけの画像を載せておきます。


4   F2の時代
  1971年のF2発売頃にガンカプラーが2種類となり、AS-1、AS-2と型番が付きました。
  また、AS-1乃至AS-6共通の取扱説明書が作られています。これは販売時期により適用機種の違いがあります。
  私の手元にある一番古いものを載せておきます。


⑴   AS-1
  ボディー側   :   F、F2
  スピードライト側   :   JIS規格
  標準価格   :   ¥1,500(カメラ総合カタログ(1973年3月))、¥1,800(カメラ総合カタログ(1978年3月))



⑵   AS-2
  ボディー側   :   JIS規格
  スピードライト側   :   F2用
  標準価格   :   ¥2,000(カメラ総合カタログ(1973年3月))、¥2,500(カメラ総合カタログ(1978年3月))



5   F3の時代
  1980年のF3発売頃にガンカプラーAS-4からAS-6が追加され6種類となりました。
  その後、AS-7、AS-17が発売されました。

  AS-1乃至AS-6の取扱説明書は共通のものが作成されていますが、適用機種の記載は時期により異なります。私の手元にある一番新しいものを載せておきます。


⑴   AS-3 
  ボディー側   :   F3
  スピードライト側   :   F2用
  標準価格   :   ¥3,000(カメラ総合カタログ(1981年2月))



⑵   AS-4 
  ボディー側   :   F3
  スピードライト側   :   JIS規格
  価格   :   ¥2,000(カメラ総合カタログ(1981年2月))



⑶   AS-5
  ボディー側   :   F、F2
  スピードライト側   :   F3用
  標準価格   :   ¥3,000(カメラ総合カタログ(1981年2月))



⑷   AS-6
  ボディー側   :   JIS規格
  スピードライト側   :   F3用
  標準価格   :   ¥3,500(カメラ総合カタログ(1981年2月))



⑸   AS-7
  ボディー側   :   F3
  スピードライト側   :   F3用、JIS規格用共に可能
  F3のシューが巻き戻し基部にあるため、フイルムの取り出しをする度にスピードライトを取り外す必要があった。その煩わしさを解消するため、シューを巻き戻し基部から前方(レンズマウント側)にずらすためのもの。
  1983年頃発売。
  標準価格   :   ¥7,000(カメラ総合カタログ(1983年3月))



  カメラ総合カタログでは、1995年3月号以降、ガンカプラーの記載が無くなっているため、上記AS-1乃至AS-7がいつまで販売されていたかは不明です。同号での標準価格は、それぞれに記載した最終の価格のままでした。また、同号までにAS-17は発売されていませんでした。
  AS-7には、報道用受注生産モデルがありました。普通のとの違いは、スピードライト取付面の裏側にシンクロターミナルを増設している事です。これは、AS-7の構造上、F3のシンクロターミナルを塞いでしまうため、別途シンクロターミナルを作ったものです。報道用受注生産モデルといっても、当時は普通のカメラ店が普通のカメラ雑誌に広告を出して販売していました。ただ、値段は結構高かった記憶があります。


⑹   AS-17
メーカーのホームページが残っていました。
  ボディー側   :   F3
  スピードライト側   :   JIS規格用
  標準価格   :   税別¥16,000







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