Nikon   F3の改造

目次
1    F3本体
   (1)    防水シャッターボタン
   (2)    ファインダーにシューを追加
   (3)    ファインダーの塗装剥がし
   (4)    イルミネータースイッチ
   (5)    フイルムカウンターの色
   (6)    裏蓋開閉ロックレバー外し
   (7)    フイルムカウンターが1になるまでの1/80固定空写し機構の削除
   (8)    アイピースシャッター外し
   (9)    裏蓋にフィルムガイドローラーを追加
   (10)    巻き戻しノブに赤いシールを貼る
   (11)    巻き戻しノブに刻印(社外)
   (12)    塗装(社外)
2    モータードライブMD-4の報道用受注生産モデル
   (1)    グリップにゴムを貼り付ける
   (2)    ボディーとの設置面のゴムシート貼り
   (3)    防水シャッターボタン
   (4)    逆算カウンター殺し改造
3    コマ速変換機MK-1の報道用受注生産モデル
4    裏蓋MF-6Bの報道用受注生産モデル
   (1)    ゴムが右側のみ
   (2)    ゴムが右側 + 出っ張り部分
   (3)    ゴムが全面
5    ガンカプラーAS-7の報道用受注生産モデル






1    F3本体    目次へ戻る
   現在のカメラは、様々な項目をカスタム設定で自分の使い易いように出来ますが、F3の時代にはカスタム設定機能はありませんでした。そこで、F3には、報道機関やプロカメラマンの要望に応えて、様々な改造が行われていたようです。まさにカメラ界の仮面ライダー・本郷猛ですね!
   ここでは、ニコンF3に施された改造を検証していきたいと思います。色々な話は聞くのですが、根拠に基づきたいので、私が実物や画像を見た等出来たものだけをここでの対象にさせて頂きます。

(1)    防水シャッターボタン    目次へ戻る
   シャッターボタンにゴムを被せただけではなく、①シャッターボタンを穴の無いものに交換、②シャッターボタンの周りの黒い部品をゴム付きの物と交換、と二つの部品を交換しています。
   写真家の赤山シュウさんによると、これは1985年頃に当時のカメラ営業部報道機材課による報道用のF3カスタマイズでポピュラーなものだったそうです。

   上は普通のシャッターボタン、下は防水シャッターボタンです。シャッターボタンに孔が開いたままだと、そこから水が入るリスクがあるので、そのリスクを除去するために孔のないシャッターボタンに交換の上、ゴム付きの部品と交換しているものと考えられます。
   防水シャッターボタンの比較です。上が普通のF3、真ん中は防水シャッターボタン改造のF3、下はF3Pです。



(2)    ファインダーにシューを追加    目次へ戻る
   ファインダーにシューを追加しています。シューに接点は有りますが配線はされていないようで、ファインダーのボディー側には接点は有りません。所謂コールドシューとなっています。
   上は改造DE-2、下は通常のDE-2です。


F3PのファインダーDE-5との比較
   画像は、全て左がDE-2にシューを追加したもの、右はF3PのDE-5です。
   まずは接点の状況です。改造DE-2には接点は有りませんが、DE-5には接点が有ります。ボディー側もF3Pは右側に接点が追加されています。

   その他の角度から見たところです。





(3)    ファインダーの塗装剥がし    目次へ戻る
   炎天下の使用を考慮して、ファインダーの塗装を剥がす事もしていたようです。画像はF3P用のDE-5です。


(4)    イルミネータースイッチ    目次へ戻る
   Xのフォロワーさんから画像をご提供頂きました。
   白いレバーを横にスライドする事で照明のオンオフが出来るようになります。
   目的は、暗所での操作性向上のためと、暗い場所でもレンズの絞り設定値を確認出来るようにするためと考えられます。




   このスイッチは、白いレバーを向かって左にするとオフ、右にするとオンになります。

   スイッチ付きの個体(左側)と通常の個体(右側)です。



(5)    フイルムカウンターの色    目次へ戻る
   普通のF3は、枚数を表す数字と点は青色(点の内、12、20、24、36は白色)、指標は赤色です(左側)。
   これに対し、F3/TとF3Pは、枚数を表す数字と点は白色(点の内、12、20、24、36は赤色)、指標は赤色です(中央がF3/T、右側がF3P)。


   普通のF3の場合、薄暮の撮影現場では文字が見えにくいため、要望に応えてF3/T・F3Pと同じ色に変更するという対応がされていたそうです(上の画像、Xのフォロワーさんからご提供頂きました)。この変更は、枚数を表す数字と点のみを白色にする場合と、指標まで白色にする場合(下の画像、写真家の赤山シュウさんから画像をご提供頂きました)。とがあったそうです。細かく要望を聞いてくれていたのですね。


(6)    裏蓋開閉ロックレバー外し    目次へ戻る
   写真家の赤山シュウさんから画像をご提供頂きました。機構はF3Pと同じだそうです。



(7)    フイルムカウンターが1になるまでの1/80固定空写し機構の削除    目次へ戻る
   写真家の赤山シュウさんから情報をご提供頂きました。このような改造もされていたそうです。
   機構的には、F3Pと同様にフィルムカウンターの1を伝えるリード線が省略されている結果、1/80秒に固定されない仕組みと考えられます。

(8)    アイピースシャッター外し    目次へ戻る
   写真家の赤山シュウさんから情報と画像をご提供頂きました。画像はF3/Tですが、普通のハイアイポイントファインダーでも実施されていたそうです。目的は、撮影現場で強いショックを与えてしまった場合にアイピースシャッターが壊れて閉まってしまい、レバーと内部が連動しなくなり、アイピースシャッターが閉じたままになり困らない様な対策だそうです。F3Pでは、その様な意味でも省略されたそうです。


(9)    裏蓋にフィルムガイドローラーを追加    目次へ戻る
   写真家の赤山シュウさんから情報と画像をご提供頂きました。よりフィルムが確実に給送される様にガイドローラーを追加してもらったそうです。
   上は、写真家の赤山シュウさんからご提供頂いたフィルムガイドローラーを追加した裏蓋です。下の左側は通常のF3です。下の右側はMF-6Bです。


(10)    巻き戻しノブに赤いシールを貼る    目次へ戻る
   Xのフォロワーさんから情報を頂きました。
   巻き戻しノブが目視で回転しているか認識するため、F2のウエムラモデルと同じような赤いシールを貼るサービスがあったそうです。

(11)    巻き戻しノブに刻印(社外)    目次へ戻る
   社外での加工のようですが、上記(10)同様巻き戻しノブが目視で回転しているか認識するため赤く刻印し、更に巻戻し方向に矢印も刻印した個体が散見されます。

   左側は通常の巻き戻しノブ、右側が刻印された巻き戻しノブです。

(12)    塗装(社外)    目次へ戻る
   経緯等は不明ですが、画像のように塗装された個体が存在します。




2    モータードライブMD-4の報道用受注生産モデル    目次へ戻る

(1)    グリップにゴムを貼り付ける    目次へ戻る
   グリップ部に滑り止めのゴムが貼られていました。このゴムのパターンには幾つかの種類が有り、目の大きい方が時期が古いようです。


(2)    ボディーとの設置面のゴムシート貼り    目次へ戻る
   MD-4とF3の設置面にゴムシートが貼られています。
   画像は、左側が通常のMD-4、右側が報道用受注生産モデルです。


(3)    防水シャッターボタン    目次へ戻る
   Xのフォロワーさんから情報を頂きました。ゴムカバー付シャッターボタンはユニット交換による改造で、通常ストローク仕様とショートストローク仕様があったそうです。ショートストローク仕様は内部のボタンの形状と厚みが異なっていたそうです。
   写真家の赤山シュウさんから画像をご提供頂きました。

   通常のものとの比較です。左側が通常のMD-4、右側が報道用受注生産モデルです。



(4)    逆算カウンター殺し改造    目次へ戻る
   Xのフォロワーさんから情報を頂きました。
   フィルム交換毎にいちいちカウンターセットが面倒で速写性が損なわれるため、オレンジ色の丸印で固定する改造も行われたそうです。新聞社の記者クラブなんかでよく見かけた改造だそうです。



3    コマ速変換機MK-1の報道用受注生産モデル    目次へ戻る

   モータードライブMD-4と同じデザインの滑り止めのゴムが貼られていました。



4    裏蓋MF-6Bの報道用受注生産モデル    目次へ戻る

   裏蓋に滑り止めのゴムが貼られていたものが有りました。これにはいくつかのタイプが有りました。

(1)    ゴムが右側のみ    目次へ戻る
   右側の親指が当たる位置にモータードライブMD-4と同じデザインの滑り止めのゴムが貼られていたタイプです。


(2)    ゴムが右側 + 出っ張り部分    目次へ戻る
   上の1に加えて、MD-4との接点がある出っ張り部分にもゴムを貼ったタイプも有ったようです。この画像は、XのフォロワーのPonta_9999さんからご提供頂きました。


(3)    ゴムが全面    目次へ戻る
   裏側全体にゴムが貼られていたタイプです。




5    ガンカプラーAS-7の報道用受注生産モデル    目次へ戻る

   スピードライトを取り付ける下側に接点が増設されていました。
   画像は、左側が通常のAS-7、右側が報道用受注生産モデルです。





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